底抜けに明るくて、いつもふざけてばっかりで。
でも本当は誰より優しくて思いやりがある。
それは高校の頃から、ちっとも変わらない。
くぼっちって、そういうやつ。
「ありがとな、くぼっち。くぼっちがいなかったら俺……」
起き上がったくぼっちは、両手で俺の頬を挟み込む。
「あらあら琉生くん。珍しく素直でちゅねー。かわいいでちゅねー」
そう言ってくぼっちは、白い歯をニッと見せて笑った。
「……ホント、マジメに話そうとした俺がバカ」
久しぶりに会ったから、つい、くぼっちのペースに巻き込まれてしまう。
「ハハッ。なんか久々に橘と会ったから本当は照れくさくて」
「会うのは久しぶりだけど、しょっちゅう電話してくるじゃんか」
「ねぇ、嫌なの!?」
「嫌じゃないっす。うれしいっす」
「はぁー。なんかおまえ、幸せそうでうらやましいわ。咲下パワーすげぇな」
波打ち際を、彼らと一緒に走り回っている彼女の姿を見つめる。
「たくさん遠回りもしたけど、ホントによかったな」
「うん」
「ふたりのこと見てたらさ……運命の人って本当にいるのかもって思った」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)