水の入ったバケツの中に、終わった線香花火を入れたあと、
砂浜にくぼっちと俺は、並んであおむけに寝転がった。
「それにしても、この星空はヤバいな。感動だわ……」
目に映る景色は、星空でうめつくされる。
「だろ?毎日見てても飽きないよ」
「こんな綺麗な景色に囲まれて暮らしてるんだし、咲下の声もきっと……すぐに治るよ」
「うん……」
俺はくぼっちのほうに向いて微笑んだ。
少しの間、黙り込むくぼっち。
起き上がった俺はあぐらをかき、上からくぼっちの顔をのぞきこんだ。
「くぼっち……泣きそうになってる?」
「なんかさ、いままでの橘と咲下のことを思い出してたら……やべぇ……」
そう言って瞳に涙をためて微笑むくぼっちは、指で目をこすった。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)