くぼっちは、高校の時にした約束を忘れていなかった。 “大学の夏休みに、橘が働いてるとこ遊びに行くよ” その約束どおり、わざわざ遠い沖縄まで来てくれたくぼっち。 感謝の気持ちを込めて俺は、両手を大きく広げて、 全力で走ってくるくぼっちを受け止める準備をしていた。 なのに、おまえは――。 「久しぶりーっ!元気だったかぁ?」 そう言って、くぼっちが真っ先に抱きついたのは、俺の横にいた咲下だった。 ……俺じゃないんかーい! 「……俺が両手広げて待ってた時間返せよ」