逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





コーヒーを飲み終えて、庭から自分の部屋に戻ると、



咲下がベッドの上で体を横向きにして眠っていた。



彼女の寝ているベッドの上に、俺は静かに座る。



「昼寝してんの……?」



そうポツリと言った俺は、彼女の寝顔を見つめて微笑む。



……よかった。



彼女が返事をしないってことは、ちゃんと寝てるってことだよな。



夜もこうして、ぐっすり眠れるといいのにな……。



開けっぱなしにしていた窓から、爽やかな風が入ってくる。



彼女の足元にあったタオルケットを、俺は彼女の体にかけた。



俺はベッドに座ったまま、彼女の髪をそっと撫でる。







――キミの声は



どんな声だったか



いまもちゃんと覚えてる。



もしもキミが



このまま、声を失ったままだとしても



俺が覚えてるから。



キミの声を



俺がずっと忘れないから。






眠っている彼女の手に、俺は自分の手を重ねた。



「……好きだよ」



そう呟いた俺は、彼女の頬にキスをした。