逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


「くぼっち……気づいてたんだな」



「まぁねー。心配すんな、誰にも言わないから」



走りながら俺の背中をポンと叩いたくぼっちは、ニコッと笑った。



「橘って、誰に対しても同じ態度だけどさ。なんか咲下にだけ話し方とか優しく見える」



「うそ!普通にしてるつもりなんだけど」



「まぁ他のやつらは気づいてないと思うよ?たぶん咲下本人も」



なんか急に顔が熱くなってきた。



「うぇいうぇーい!照れちゃってさぁ~。橘も可愛いとこあるじゃん」



「からかうなよっ」



俺はくぼっちの脇腹に肘鉄をくらわす。



「イタッ!おまえっ、走ってる時にそれはキツイって」



「あ、わりぃーわざと」



その時、遠くの方から先生の叫ぶ声が聞こえた。



「おまえらー!ふざけてないでちゃんと走れー!」



俺とくぼっちは顔を見合わせて笑った。



「なぁ、橘」



「ん?」



「咲下と付き合ってるわけじゃないんだよな?」