「俺の持ってるカギのキーホルダーは、咲下が修学旅行のとき、俺にくれたやつ」
橘くん……あたしがあげた星砂のキーホルダー、まだ持っていてくれたんだ。
じゃあ、これは……?
「咲下に渡したカギのキーホルダーは、修学旅行のときに俺が渡したやつ」
橘くんがくれた星砂のキーホルダーって……
だって、1ヶ月前のあの日、
あたしは砂浜に落として、拾わずにそのまま……。
「あの日、この砂浜で拾ったんだ。ひどいよなぁ~咲下。俺が渡したキーホルダー捨てちゃうなんてさぁ」
彼は笑いながら冗談っぽく言った。
橘くん……ごめん。
橘くんへの申し訳なさから、合わせる顔がなく、
思わずあたしは彼の胸にしがみついてしまう。
「なんだよそれ……かわいいから許すっ」
彼の服を掴んでいたあたしは、慌てて服から手を離す。
恥ずかしくなって、あたしはくるりと後ろを向いて俯いた。
「でも……咲下がキーホルダーをここに落としていってくれなかったら、あの日、俺は……咲下を見つけられなかったかも……」
橘くん……。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)