逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「咲下……」



彼はあたしの体をゆっくりと離す。



彼は優しく微笑んで、あたしの手を取った。



あたしの左手を掴んだまま、彼はポケットの中から何かを取り出した。



「手、ひらいて?」



あたしは涙を拭いながら、手のひらを見せると、



彼はあたしの手のひらの上に、星砂のキーホルダーがついた何かのカギを乗せた。



「咲下が帰ってきたら渡すつもりだった。俺の部屋のカギ」



そして彼は、あたしに渡した物と全く同じ物をポケットから出してニコッと笑顔を見せる。



「俺とお揃いっ」



あたしは驚いて彼を見つめる。



どうして……このキーホルダーが2つあるの……?



あたしが持っていたキーホルダーは、1ヶ月前のあの日……砂浜に……。