――その日の午後。
いまは体育の時間。
男子はグラウンドで持久走のタイム測定だった。
俺はくぼっちと並んで話しながら、ゆっくりと走っていた。
「だるいなー持久走」
「あぁ」
くぼっちは、ボソッと小さな声で言った。
「みんなさー、橘が咲下のこと好きだって気づいてないのなー」
「えっ!?ちょ……ゴホッ、ケホッ、えっ?」
くぼっちが、しれっとした顔で俺の好きな人を明かした。
誰にも聞こえてないよな?
俺はキョロキョロと周りを見回す。
「急に発表してくるから驚いたじゃんか」
「へへへーっ」
くぼっち、楽しんでるな。
持久走のせいだけじゃない、心臓がいっそうバクバクしてきた。
「学年一可愛い子を振ったのは、咲下のことが好きだからだろ?」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)