逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




涼しい風を頬に感じて、俺は目を覚ます。



少しの間、砂浜の上で眠ってしまったみたいだ。



眠たい目をこすりながら、ぼんやりと空を見る。



さっきまで明るかったはずなのに、いつのまにか空は星屑でうめつくされていた。



星が瞬く夜。



キミの笑顔を思い出したいのに。



俺が思い出すのはいつも



キミの泣き顔だ――。



「そろそろ戻るか……」



俺は立ち上がって、服についた砂を手ではらう。



ペンションに戻ろうと振り返った俺は、歩き出そうとした。



――サッ。



足で砂を踏んだ音とともに、俺は驚いて一瞬、動けなくなる。



視線の先には――。



こっちを見つめて立っている彼女がいた。