――――――……
早朝、お客さんたちが起きて来る前に、
俺はオーナーと一緒に1階のダイニングルームで朝食をとっていた。
「あの子、大丈夫なのか?」
ご飯を食べながら、翔さんが心配そうに俺の顔を見つめる。
「たぶん……大丈夫だと思います」
お母さんに逢いたいと泣いていた咲下。
お母さんのためにも死んだりしないって、咲下がこれからも生きてくれるって
俺は……信じてるよ。
「今朝早くに出て行ったんだろ?あの子、自分の家に帰ったのか?」
「……それが……わかんなくて……」
「心配じゃないのか……?あの子なんだろ?前に琉生が俺に話してくれた片想いの子って」
俺は小さくうなずいて、味噌汁をゴクンと飲み込んだ。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)