☆琉生side☆
――――――……
修学旅行から帰ってきて、ちょうど1週間が経つ。
休み時間、教室の前の廊下で、クラスのやつらとふざけ合っていた。
今日も普段と変わらない学校生活を送っている。
ただ、友達に「何かイイことでもあったのか?」とよく聞かれるほど、俺は浮かれて見えるらしい。
沖縄で見た星空のことを思い出す……。
「なぁ、橘~。最近ご機嫌じゃね?」
廊下でプロレス技をかけたりしてふざけてたやつらが、
いつのまにか動作を止めて、ニヤニヤして俺の顔を見つめていた。
「別に普通だけど。……なんだよ?みんなで俺のこと見んなよ」
「なにかイイことでもあったんじゃねーの?教えろよぉ~」
「なんもねぇって」
俺は、廊下の壁にもたれて座り込む。
「またまた~」
みんなは面白がって、俺から何かを聞きだそうとしている。
そんなに俺、態度に出てんのかなぁ。
気をつけねーと。
「どーせエロいことでも考えてたんだろー」
そう言って俺のことを茶化すのは、同じクラスの友達、くぼっち。
「考えてねぇし!くぼっちと一緒にすんなって」
「あ、ひでぇ」
俺の頬をグイーンっと引っ張るくぼっち。
そのとき、廊下にいる俺たちの前をひとりの女子が通りかかった。
あの子は……2年1組の子。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)