俺は自分の部屋に戻り、洗面台で顔を洗う。
パシャパシャと何度も何度も冷たい水を顔にかけた。
キュッと蛇口を止め、鏡に映った自分の顔を見つめる。
……夢じゃない。
何もかも。昨日の夜のことすべて。
肩の重みに幸せを感じたことも。
繋いだ手のぬくもりも。
キミがこの部屋にいたことも。
そして、キミがいなくなったことも――。
濡れた顔をタオルで拭きながら、ベッドの方に向かう。
――ゴトッ。
床の上に置いてあったジュースのペットボトルに足がぶつかり、ペットボトルが横に倒れた。
ペットボトルの下にあった、小さな白い紙。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)