逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




朝の光が差し込む明るい部屋。



一瞬、すべてが夢だったのかと思うほど、静かな朝だった。



俺は慌ててベッドから降り、部屋の中を探す。



洗面所、トイレ、浴室、バルコニー。部屋のどこにもいない。



俺は部屋を出て、ペンションの建物の中を探し回った。



気持ちばかりが焦って、どんどん不安になっていく。



だけど、咲下の姿は、どこにもなかった。



俺はそのままペンションから出て、その周辺や砂浜のほうなどへ探しにいった。



「咲下ぁ―――っ」



必死に走って、辺りを探しまわる。



どうして……ひとりでいなくなるんだよ?



咲下……。



何で何も言わずに消えちゃうんだよ?



どうして……。



「ハァ、ハァ……っ」



探しまわっても、どこにも彼女の姿はなかった。



……なんで俺は、気づかなかったんだろう。



咲下が俺の手を離して、部屋を出て行ったとき、



どうして気づけなかったんだよ……。



俺のバカ……。



繋いだ手を

キミの手を離さない



もう二度と離さないって……そう誓ったのに。






キミはまるで星のように。



夜明けとともに、俺のそばから姿を消した。