☆琉生side☆
そのまま俺たちは、手を繋いだまま眠りについた。
ベッドの上、壁を背にして座り、毛布に包まっている。
俺の肩にもたれて眠る彼女。
静かな夜、波の音が遥か遠くに聞こえる浅い眠りの中、その肩の重みに幸せを感じた。
繋いだ手のぬくもりに安心して、
再び深い眠りへと入っていく……。
――るり色の空。
もうすぐ夜が明ける。
星は夜しか見えなくて
夜明けには
朝の光とともに
その姿を消してしまう
肩の重み
繋いでいたはずの手
「咲下……?」
――朝の光に、目を覚ましたときには
隣にいるはずの彼女の姿は消えていた。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)