あたしたちはお互いに
お互いの幸せを星に願っていた
ずっと前から……
変わらず、心から祈ってた
「ずっと何もできない、頼りない自分が悔しくてたまらなかった。咲下が街を去って行った日、いつか迎えに行くって心に決めてた」
粉雪が降った17歳の冬、駅のホームを思い出す。
あのとき、橘くんはそんなふうにあたしを想ってくれてたんだね。
あの日、お互いに伝えられない想いがあった。
「もう子供じゃないけど、いまもまだ、大人っていうわけじゃない。それでも……二度と離したくない」
強くぎゅっと握りしめた手。
「これからはずっと……咲下と一緒にいたい」
橘くん……。
「何も心配しなくていいから……だから……」
彼は真っ直ぐにあたしの瞳を見つめる。
「ここで俺と一緒に暮らそう」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)