逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「もう何もかも嫌になった、そう思うときもあったけどさ。つらいことがあったときは、よく耐えてんなー、よく頑張ってんなーって自分で褒めてあげないとな」



橘くんは、優しく微笑んだ。



「生きていれば、またいつか笑えるって、きっと幸せになれるって……そう俺が信じれたのは、咲下のおかげだよ」



橘くん……。



「ありがとな」



こんなあたしでも、誰かの役に立てたの……?



自分の存在なんて無意味だと思っていたのに。



生きてる意味なんてないと思っていたのに。



橘くんの肩にもたれたまま、あたしは涙を流す。



生きていればきっと……



またいつか、笑えるかな。



心から笑えるようになるかな。



あたしは……



幸せに……なれるかな……。



「いつか俺の願い事が決まったら教えるって、修学旅行の夜に約束したこと覚えてる?」



あたしは涙を拭って、小さくうなずく。



……覚えてる。忘れるわけない。



修学旅行の夜、ホテルのバルコニーでゆびきりをした約束。



「本当はずっと前から決まってた」



橘くんの願いが叶うように、あたしも祈ってる。



修学旅行の夜、あたしはそう誓った。



あれからもずっと、祈っていた。



彼がこの世界で誰よりも幸せであるように。



彼の願いが叶いますようにと……。



「俺の願いは、咲下が幸せだって心から笑ってること」