逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




あたしは何もしてない。



だけど、あたしが書いた詩がほんの少しでも



苦しんでいた橘くんの



真っ暗な世界にいた橘くんの



……光になれたなら、よかった。



“涙星”



あの詩を書いたあたしは、どんな気持ちでいたっけ?



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夜空を見上げたら

今日も涙が流れた



流れて

きらり光って



涙と星は似てる



それとも



涙は、いつか星になるの?



いま見てるこの星が

何年も前の光なら



いつか



星になった私の涙

かき集めたら



大きな光になるかな



つらく悲しい

真っ暗な世界でも



強い光になれるかな



“涙星”



きっとどこかで

誰かも見つめてる




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「俺を苦しめた人をすぐに許せるとは思ってなかった。ましてや家族だったしな」



家族……。



橘くんの気持ちがわかる。



家族だからって、何でも許せるわけじゃない。



許すって難しい。



それは他人でも家族でも。



つらかった日々は、心の中から簡単には消せない。



苦しみ、悲しみ、怒り、憎しみ、涙……。



さまざまな感情がいつまでも自分を苦しめる。



「でも、自分のために……許そうって思った」