逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





「じゃあ……少し俺の話してもいいかな」



あたしは橘くんの肩にもたれたまま頷く。



「……俺、咲下にずっと前から伝えたかったことがあった」



伝えたかったこと……?



「あのノート……」



中学の頃に失くしたはずの、詩のノート。



それは橘くんが持っていて、数年もの時を経てあたしの元に返ってきた。



「ノートを拾ったときに見ちゃったんだ。ごめんな?」



あたしは小さく首を横に振る。



「“涙星”……覚えてる?」



あたしはうなずく。



あの詩だけは、忘れられなかった。



“涙星”



それは、あたしが初めて書いた詩だった。



「あの頃の俺を救ってくれたのは、咲下だったよ」



……どういうこと?



あたしは橘くんの顔を見つめる。