逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「付き合ってたのに、片想いって……彼女に他に好きな人がいたとかですか?」



「そう。でも、それを知ってても彼女と一緒にいたくてさ。懐かしいな」



「その彼女のこと、いまでも思い出したりします?」



「うん。思い出すよ。彼女に未練があるとかじゃなくてね。なんていうか……うん。あの頃のことは、一生忘れない大切な思い出だから」



「翔さん……」



――ガチャ……。



ペンションの玄関のドアが開き、お客さんがふたりやってきた。



翔さんがさっき電話で話していた人のようだ。



「いらっしゃい、大輔、愛空」



翔さんの友達、大輔(だいすけ)さんと、その娘さん愛空(あいく)ちゃんだ。



「久しぶり。元気だったか?翔」



「うん。おかげさまで。遠いのに遊びに来てくれてありがとな」



翔さんと大輔さんはガシッと抱き合う。



「翔くんっ」



ニコッと笑う愛空ちゃんの頭を、翔さんはポンポンと優しく叩いた。



「ふたりとも疲れただろ?部屋、案内するよ」