逢いたい夜は、涙星に君を想うから。






☆琉生side☆



高校の卒業式を終えた次の日、俺はカバンひとつで沖縄にやってきた。



夏休み中アルバイト先だったペンションに住み込みで働き始めている。



海のすぐ近くにあるこのペンションは、2階建ての白を基調とした西洋風の外観。



客室は6部屋あって、そのほとんどがベッドが2台置いてあるツイン・ベッドルームになっている。



1階にはダイニングルームや浴室、オーナーの部屋などがあり、2階は客室とスタッフ用の部屋、バルコニーなどがある。



俺がひとりで使用しているスタッフ用の部屋もベッドが2台置いてあり、元は客室として使用していた部屋だったとオーナーから聞いた。



ペンションのオーナーは、30代で名前は翔(しょう)さん。



翔さんは大学在学中の20代前半の時から海外に行ったりして、料理の勉強なんかもしていたらしい。



宿泊するお客さんは、1階のダイニングルームで翔さんの手造り料理を食べるんだけど、お客さんの間では料理が美味しいと評判だった。