――――――……
――ザーーーッ、ザーーーッ。
寄せては返す静かな波の音。
星空の下、誰もいない砂浜。
靴を脱いで両手で持ち、裸足になったあたしは柔らかい砂の上を歩いていく。
……答えを探してた。
どんなに悲しくても、つらくても
必死に頑張って、生きていく理由を。
お母さんが死んだあの日からずっと、その答えを確かめるために生きてきた。
自分なりに必死だった。
頑張ってきたつもりだった。
ひとりでも強く生きていける、そう思ってた。
だけど……もう……
疲れちゃった……。
探してた答えとは別の答えに辿りついた。
きっと頑張って生きたって何もない。
あたしには何もない。
生きている意味も。生きていく理由も。
このまま生きていても、あたしはただ、暗い夜の中を歩き続けるだけ。
それが……あたしの答えだ。
砂浜の貝殻を足で踏みそうになったとき、服のポケットから星砂のキーホルダーが落ちた。
あたしは立ち止まり、砂の上に落ちたキーホルダーを見つめる。
あたしはそれを拾わずに、再び歩き出した。
明日なんていらない。
すべてを捨て去って、あたしは――。
……お母さん、待ってて。
そばに行くから。
もう寂しくないよ?
お母さんとまた一緒にいられる。
――すべてを捨て去って、あたしは星になるの。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)