逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



学校からの帰り道、陽太とあたしは並んで歩いていく。



「今日は自転車で学校まで来なかったんだね」



「卒業式やし、最後の通学路やけん、歩こうと思って」



「そっか……」



あたしを駅まで送ってくれるといった陽太。



いつも教室にいても、しゃべりっぱなしってくらいなのに。



さっきから、ずっと黙ったまま。



今日でこの道を歩くのも最後なんだと思うと、胸が締めつけられた。



踏切が見えてくる。もうすぐ駅だ。



いつも一緒に過ごしたあたしたち。



今日でお別れだね。



明日から別々の道へと進んでいく。



歩きながら、陽太の横顔を見つめた。



いろんなことがあったね……陽太。



一緒に過ごした時間は、忘れないよ。



いつまでも、その明るい笑顔で。



周りの人たちを幸せにして。



陽太は陽太のままで。



変わらず、素敵な人でいて。



「送ってくれて、ありがとねっ」



ほとんど会話をすることもないまま駅前に着いた。



人々が行き来する中、あたしと陽太は向かい合って立つ。