「このままやったら、後悔すんぞ?今度は凜が会いに行け」
「いまさら遅いよ。幸せでいてくれたら、それでいい」
陽太はあたしを見て大きなため息をつく。
「あーあ。凜が俺に憧れとるいうんは嘘やったん?俺が凜やったら、会いに行くのに……」
「陽太……」
「凜はもっと自分に自信持て!俺がこんなに本気になった女の子は初めてや。」
明るい陽太の笑顔がそこにはあった。
「頑張れ、凜!」
出逢ってから、ずっと。
こんなあたしに
いつも明るく接してくれて、励ましてくれて。
ありがとう。
好きになってくれて、ありがとう。
「俺も……凜に出逢えてよかった」
「……ありがと、陽太」
そう笑って言ったのに。
笑顔で陽太とお別れしたかったのに。
あたしは溢れた涙を抑えきれなかった。
「俺こそ、ありがとうな……凜……」
青い空の下、涙を拭いて。
陽太と笑顔で握手をした。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)