「これから先、俺が凜のこと心から笑わせてやるけん」
陽太から視線を逸らして、あたしはうつむく。
「半端な気持ちで言うとるんやない。将来のことも考えとる。大学卒業したら、結婚して凜のこと幸せにする。やけん、待ってて欲しい……」
「ダメだよっ!そんなの……」
大声を出したあたしは、スカートの裾をぎゅっと握りしめる。
「なんでなん?」
「前に陽太、あたしに言ったよね?いい大学に行って、いい会社に入って、いいお嫁さんをもらって、楽しい家庭を作るのが将来の夢だって……」
「言うたよ。やけん、俺は……」
「その相手はあたしじゃないよ……。あたしは陽太に何もしてあげられない。あたしは陽太のこと……」
「“何とも思ってない”……そーやろ?そんなん、わかっとる」
わかってるのに……どうして……。
「陽太は、それでもいいの……?あたしの気持ちが陽太になくてもいいの……?」
「ええよ。俺がたくさん想っとるけん。そばにおったら、いつか凜が振り向いてくれるかもしれんしな」
先のことなんて、誰にもわからない。
いまは何とも思っていなくても。
このまま陽太のそばにいたら
あたしは……
いつか、彼を好きになれるのだろうか――?



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)