逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「みんなと離れるんも寂しいし……凜と離れたくない」



「陽太……」



陽太はあたしを見て優しく微笑む。



「これからどーするん?」



「まさか就職先が決まらないまま卒業することになるなんて思わなかったよ」



何社か受けた面接は、すべて失敗に終わった。



お母さんが死んでから、過呼吸になったりと精神的に不安定になることが多くなった。



この街に来てからは、夜眠れなくなったり、普段の生活の中でめまいや頭痛も感じていた。



会社の面接に向かう途中や、面接中にも具合が悪くなってしまって、結局どこの会社にも採用はしてもらえなかった。



そんななか周りはどんどん進路が決まっていき、不安や焦りも感じていたと思う。



何よりも、あの家から早く出て行きたいという気持ちが強く、絶対に面接に受からなきゃというプレッシャーや緊張もあったかもしれない。



「そのわりに、すがすがしい顔しとるな」



小さく頷いたあたしは、陽太にニコッと笑って見せた。



「やっと自由になれるんだなーって思って」



あたしは綺麗な空を見上げて、大きく息を吐き出した。



狭く小さな籠に閉じ込められた鳥が



羽を折られて自分で飛べなくなる前に



果てしなく広い空へ



自由な世界へと飛び立っていくように。



「この街に来た日から、ずっとこの日を待ちわびてた。あの家から出て行く日を……」