逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




――――――……



「そっか。更紗ちゃんは、おまえへの気持ちを吹っ切って前に進んだってことか……」



そう言ってくぼっちは、俺の顔を真剣な表情で見つめる。



俺は机の上で頬杖をついたまま、教室の窓の外に目を向けた。



「吉野は自分の気持ちにちゃんとケジメつけて前向いてんのに、俺は同じとこにずっといるだけだよな……」



俺が小さくため息をつくと、くぼっちは呟くように言った。



「……正解なんて、あんのかな?」



「え……?」



「忘れたくないなら、ムリに忘れなくていいと思うよ?」



「くぼっち……」



「忘れたくて、気持ちにケジメつけて吹っ切った更紗ちゃんも。忘れたくなくて、一途に咲下を想い続けるおまえも。俺はどっちも間違いだなんて思わねーよ?」



「だけど……咲下には彼氏がいてさ。ふたりが一緒にいるとこも俺見てんのに……」



「叶わない想いは意味ない?俺はそうは思わねーけど」