逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「えほんにかいてあったの。ホンモノのおほしさまは、とおいとおいところにあるって」



「うん……そうだよ。本物のお星様は遠くて誰にも掴めないの」



のえるは、寂しそうにうつむく。



「りんちゃんに……わらってほしかった……」



のえるは泣きそうな声で言った。



「だって、りんちゃん……いつもかなしいカオしてる」



「のえる……」



「りんちゃんは……どぉしたら、のえるのことスキになってくれる……?」



のえるの瞳から涙がこぼれ落ちた。



「……っ……っく……」



のえるは、何も言わなくても。



あたしの想いをずっと感じとってたんだね。



こんな幼い子に、悩ませて、悲しませて。小さな心を傷つけた。



「りんちゃんが……のえるのことキライでも……のえるは、りんちゃんのことスキだよ……」



その言葉に、涙がこぼれた。



のえるがあたしの頭に手を置いて、そっと優しく撫でてくれた。



「なかないで?りんちゃん……」



「……ん……っ……」



「りんちゃんがかなしいのイヤだよ。のえるもかなしくなる……」



「ごめんね……ホントにごめん……」



あたしは、のえるをぎゅっと抱きしめた。



「ホンモノのおほしさまをあげたら……りんちゃんがよろこんでくれるっておもったの」



それであたしに黙って探しに出掛けたんだ。



たったひとりで。心細かったはずなのに。



「ううん……。宝物は、本物のお星様じゃないよ。のえるがくれた、たくさんのお星様だよ」



「ホントにぃ?」



「うん。でも、ありがとね……」



あたしは、のえるの体を離した。



のえるの冷たくなった頬に触れ、かじかんだ小さな手をそっと握りしめた。



「おうち、帰ろっか?」



「うんっ」



空からは、粉雪が舞い降りはじめていた。



小さな手をぎゅっと握りしめて、歩いていく。



あたしと手を繋いで嬉しそうに笑うのえるを見て、あたしも優しく微笑んだ。