駅から少し離れたところで、あたしは立ち止まる。
のえるの手を離し、のえるの前にあたしは立った。
あたしは地面に膝をつき、目線の高さをのえるに合わせて話す。
「どうして勝手に家を出ていったの?心配するでしょ?」
「……ごめんなさぁい」
怒っているあたしの表情を見て、のえるは悲しそうにうつむく。
「ひとりで電車に乗ろうとしたの?いったい、どこに行こうとしてたの?」
のえるの両肩を掴んで、のえるの体を揺さぶった。
「ねぇっ!のえるっ」
涙ぐむのえるは、小さな声で答えた。
「……おほしさま」
「え……?」
「おほしさまを、さがしにいくの……」
「……どういう……こと……?」
「まえに……りんちゃん、おほしさまがタカラモノっていってたから」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)