――――――……



寒い冬のある日曜日、事件は起きた――。



窓の外では時々、北風が音を鳴らして吹いている。空は灰色の雲に覆われていた。



日曜の午後、父親とのえるの母親は、ふたりで出掛けてしまった。



“パパとママ、デートしてくるわね。のえるは家で凜ちゃんとお留守番しててね?”



出掛ける前に、のえるに対してご機嫌な様子で話していた彼女。



どうせなら、のえるも連れて3人で出掛けてくれればよかったのに……。



“のえるのこと、よろしく頼むぞ”



そう笑顔で父親に言われたあたしは、黙ってうなずくしかなかった。



まだ幼いのえると、家の中にふたりきりで過ごす日曜の午後。



のえるは、さっきからずっと1階の部屋でひとりでおとなしく遊んでいるようだったので、あたしは2階の自分の部屋のデスクで学校の宿題をしていた。



――ガチャ……。

部屋のドアが開き、あたしは振り返る。



のえるがドアの横から顔だけ出してニコニコと何やら嬉しそうな顔であたしを見ていた。



「りーんちゃんっ」



あたしはすぐさま前に向き直り、のえるに背を向けて冷たく返事をする。



「なに?」



のえるは駆け寄ってきて、イスに座っているあたしの横に立った。



「はいっ、りんちゃんにプレゼントだよぉ」



のえるは、後ろに隠していた両手をあたしの前に出した。



「おほしさまっ」



のえるの小さな手のひらの上には、黄色い紙粘土で作った星が4つ。