「ごめんな」



橘くんは頭を掻いた。



「ううん、全然。そろそろ部屋に戻ろっか?」



そう言ってあたしは、借りていた上着を橘くんに渡した。



「あーうん……そーだな……」



本当はもう少し一緒にいたいって思うけど、そんなに欲を出したらダメだよね。



ただでさえ、この時間は想像も出来ないほどに幸せな時間だった。



「見つからないうちに部屋に戻らないと、だよな……?」



「うん」



あたしたちは扉の方へ並んで歩いていく。



「橘くん」



「ん?」



「星の砂って……幸せを呼ぶとか、願いが叶うって、お土産屋さんで書いてあったよね」



「あーうん」



「橘くんは、何か願い事ってある……?」