――――――……
翌日の朝、鏡を見たら、
机の角にぶつけた目の上は青紫色のアザになっていて、それを隠すため左目に眼帯をして登校した。
「凜、目どしたん!?」
教室に入るなり、心配そうに陽太が駆け寄ってきた。
陽太の大きな声に、教室にいたクラスメートたちも一斉にあたしの方へ振り向く。
「へへっ。寝ぼけて机の角に少しぶつけただけ。もぉ~大げさに騒がないでよ」
こっちを見ていたクラスメートたちは、あたしの言葉を聞いて納得した様子で、それまでの会話に戻った。
だけど陽太はジッと真剣な目で、あたしの顔を見つめたままだ。
納得していないという顔だ。
「なんでもないから」
そう言ってあたしは、陽太にニコッと笑って見せる。
「なんでもないわけないやろ?」
「なに怒ってんの?陽太ってばぁ。顔怖いよ?それより英語の宿題やってきた?」
陽太の表情は変わらない。そこに、いつものような明るい笑顔はなかった。
「なんがあった?」
「だからぁ、さっきから言ってるじゃん」
「なんで嘘つくん?」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)