陽太の腕の中、あたしは星砂のキーホルダーをぎゅっと握りしめて目を閉じる。



そして、静かに。



陽太に気づかれないように、涙を流した……。



ねぇ、橘くん……。



いま、幸せでいるよね……?



好きだよ。いまでも。



これから先もずっと。



もう一度だけ逢えて、うれしかった。



本当にうれしかった……。



「泣くなや……凜……」



優しい陽太の声。



「泣いてないよ……。陽太の前で泣いたことないじゃん……」



こうして陽太の前で泣くのは、最初で最後にするね。



ごめんね……陽太。







“泣くな”という陽太と。

“泣いていいんだよ”という橘くん。



その言葉はどっちも優しくて、時にあたしを強くも弱くもしてくれた。



半年ぶりに会った彼の哀しげな瞳の理由も。



彼があたしに会いに来てくれた本当の理由も。



あたしがそのことを知るのは、もう少しあとのこと――。