逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





☆凜side☆



「失礼しました」



あたしはペコッと小さく頭を下げて、職員室を出ていく。



「凜っ!」



声のほうに振り向くと、陽太が廊下の向こうから走ってきた。



「ここにおったん?ハァ、ハァ……やっと見つけた」



「なに?陽太。部活は?」



「これからや」



「まだユニフォームに着替えてないの?もう部活始まってんじゃない?」



「着替えよう思うとった時に陽葵から電話がかかってきよって、凜のことずっと探しとった。職員室におったん?」



「うん。ちょっと先生に呼ばれて……で、何かあたしに用?」



「陽葵に、凜のこと呼んで来て欲しいって頼まれたんやけど」



「陽葵ちゃんに?」



なんだろう……?



スカートのポケットからケータイを取り出す。陽葵ちゃんから着信があったことに、いま気づいた。



「正門のとこで凜のこと待っとる人がおるって言いよったけど、誰かと待ち合わせでもしよるん?」



あたしのことを待ってる人……?



「誰とも待ち合わせなんてしてないけど」



「とにかく行ってみようや」



陽太はあたしの腕を掴んで、廊下を走っていく。



いったい、誰が……?



心あたりも全然ない。