「凜ちゃん教室にはおらんみたいやけど、見つけたらお兄ちゃんが連れてくるって!」
「なんか悪いな」
「ふふっ。気にせんでええよっ」
「ありがとう……ん?」
彼女は俺の顔をジッと見つめている。
俺の顔に、なんかついてるのか……?
それとも、まだ怪しいヤツだと思われてる?
「お兄ちゃん、ヤキモチやくやろぉな~」
「え?」
ヤキモチ……?
「めっちゃイケメンよね!モテるやろ?もしかして……凜ちゃんの元カレ?」
「ち、違うよ」
「ふ~ん?」
彼女はニヤニヤしながら俺の顔を見ていた。
ヤキモチって……。
もしかして、この子の兄ちゃんは……咲下のことを?
胸がザワザワする。
「ほんで、凜ちゃんのこと好きなん?わざわざ会いに来たんは、そういうことなんやろ?」
俺に顔を近づけて、ニコッと微笑む彼女。
この子……けっこう鋭いな。
「えーっと、あ、そうだ。咲下に返したい物もあって……」
「返したい物?なんやぁ。陽葵はてっきり恋のライバル登場かと……」
「え?ライバルって……」
イヤな予感がした。
彼女は俺に満面の笑みを見せて言った。
「お兄ちゃんと凜ちゃんね、付き合っとるんよ」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)