逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




――――――……



翌日、今日の授業は午前中で終わりだった。



――キーンコーン、カーンコーン。



俺はチャイムが鳴ると同時に、急いでカバンに教科書やノートをしまった。



カバンの中に入っている大きな封筒も忘れずに確認する。



「じゃあ、くぼっち……俺、行ってくる」



「おう、がんばれよっ」



俺はくぼっちに背中を叩かれて、教室を出ていく。



昨日の放課後、教室でくぼっちと話している途中、



もしかして2年のときの担任なら咲下の引っ越し先を知っているかもしれないと思い、



くぼっちが学級日誌を届けるときに、俺も一緒に職員室へ向かった。



そこで俺は、2年のときの担任に、咲下の引っ越し先を訪ねた。



“咲下の新しい住所……?んー、知らんな。あ、確か転校先の学校なら……”



新しい家の住所はわからなかったけど、咲下の転校先の学校名を教えてもらった。



俺はこれから咲下に会いに行く。



カバンの中に入っている大きな封筒。



その封筒の中には、俺と咲下が出逢った日、咲下が落としていったノートが入っている。



もしも今日……咲下に会えたら……。



咲下の元気そうな顔が見られたら。



俺たちが出逢った“あの日”のことを咲下に話して。



このノートを返して、ありがとうって伝えるんだ。



そして、今度こそ。



伝えられなかった想いを。



俺の気持ちを伝えよう……。



廊下を走ろうとした瞬間、



「待って」



後ろから声が聞こえ、左腕をぎゅっと掴まれた。



振り返ると、そこにいたのは吉野だった。