くぼっちとダラダラふざけながら日直の仕事を終えていく。
あとは学級日誌を書いたら終わりだ。
といっても、自分の席で学級日誌を書いてるくぼっちの前に、俺はただ座ってるだけ。
「なぁ、橘……」
学級日誌を書く手を止めて、うつむいたままのくぼっち。
「なに?」
「咲下が元気にしてるか……気になるだろ?」
「急になんだよ……」
「咲下が転校してから、もう半年くらいか?」
「……うん、そだな」
この半年の間、1日だって
咲下を思い出さない日はなかった。
「俺さ、橘の過去のこと聞いて、咲下との出逢いも再会したのも運命だなって思った。でもさ、こうしてまた遠くに離れちゃったわけじゃん?」
「うん……」
「たとえ運命の人がいても、その赤い糸を結ぶのも切るのも、もしかしたら自分次第なのかもって……」
くぼっちは真っ直ぐに俺の目を見つめた。
「運命は手繰り寄せるもの……なのかもって、最近思ってさ」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)