逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




彼女の書いた詩を読んで、俺は思った。



“なんで俺だけが”



つらい日々に、そう思っていた自分。



この詩を書いた彼女も、きっとつらく悲しい世界で生きてる。



つらいのは、苦しいのは自分だけじゃない。



ひとりぼっちなんかじゃない。



生きていく……。



涙を流しても、傷ついても。



どんなに苦しくても。



涙が星になって、



いつか光輝くまで――。



言葉で人を救えるなんて考えたこともなかったけど、



あの日、俺は彼女の言葉に救われた。



咲下に青色の星砂のキーホルダーを買ったのは、涙の色だと思ったから。



小さなビンの中に入ってる、いくつもの涙星。



キミには、絶対に幸せになって欲しいと、そう願いを込めて渡した。



あの日、僕らが出逢ったことを、キミは覚えてはいないかもしれない。



それでもこのノートはきっと……



キミも覚えているだろう。



“涙星”



それは……



ふたりだけが知る秘密の記憶――。







咲下……



キミはいま、幸せ――?