彼女の書いた詩を読んで、俺は思った。
“なんで俺だけが”
つらい日々に、そう思っていた自分。
この詩を書いた彼女も、きっとつらく悲しい世界で生きてる。
つらいのは、苦しいのは自分だけじゃない。
ひとりぼっちなんかじゃない。
生きていく……。
涙を流しても、傷ついても。
どんなに苦しくても。
涙が星になって、
いつか光輝くまで――。
言葉で人を救えるなんて考えたこともなかったけど、
あの日、俺は彼女の言葉に救われた。
咲下に青色の星砂のキーホルダーを買ったのは、涙の色だと思ったから。
小さなビンの中に入ってる、いくつもの涙星。
キミには、絶対に幸せになって欲しいと、そう願いを込めて渡した。
あの日、僕らが出逢ったことを、キミは覚えてはいないかもしれない。
それでもこのノートはきっと……
キミも覚えているだろう。
“涙星”
それは……
ふたりだけが知る秘密の記憶――。
咲下……
キミはいま、幸せ――?



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)