逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「おまえの心の傷は……咲下が癒してくれたんだな?」



くぼっちを見つめて、寝っ転がったままの俺はうなずく。



「そうだろうな。傷が癒えなきゃ、きっと人には優しくできねぇもん。でもおまえは元々、優しい人間だったんだろうな」



そう言ってくぼっちは、微笑んだ。



「橘……」



「ん……?」



「中学のとき、おまえのこと助けてやれなくて本当ごめんな……」



「はぁ?何言ってんだよ?俺がくぼっちと出逢ったのって高校じゃん」



「そぉだけどさぁ……」



「何言い出すかと思えば……」



ホント、いいヤツだよ……くぼっちは。



「あの日、おまえが咲下に出逢わなかったら、おまえいま、どうなってたかわかんねぇじゃんかぁ」



「うん、そうだと思う。つーか泣くなよ……くぼっち~」



「だってさぁ……ぐすっ……おまえにそんな過去があったなんてさぁ……」



くぼっちは腕で目元をゴシゴシとこする。



「おまえにとって咲下がぁ……うっ……どれだけ特別な存在なのか……よぉーくわかったよ俺……」



「泣きやめよぉ、もぉ……。俺ハンカチとか持ってねぇぞ」



「……おまえらは……赤い糸で結ばれてるよ……絶対っ」



「またクサイ台詞言いやがって……」



「だってさぁ……!」



でも、もう二度と“あの子”には逢えないと思ってた。



けど、もう一度逢えた。



それが単なる偶然でも、奇跡でも。



どっちでもかまわない。



俺はいまも、キミが好きだから。