逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





“なんで俺だけが”



そう心の中で、繰り返していた日々。



終わらない世界。



逃げられない世界。



そんな世界でも……生きていく。



そう思えたのは、あの日、彼女に出逢ったからだ。



それはまるで、夜が明けていくように。



真っ暗な世界に光が差した。



「俺が中2になってすぐ、親父は酒の飲み過ぎで体壊して入院したんだ」



「親父さん、入院して少しは反省したの?」



「たぶんな……退院してからは酒も飲まなくなって、暴力振るわれることもなくなった……」



それを聞いたくぼっちは、深く息を吐き出した。



「ハァ……よかったな……本当」



親父が退院したあと、ある晩のことだった。



布団の上に横になった親父の元に、俺は水の入ったコップを持っていった。



『親父?ちゃんと薬飲んでから寝ろよ?』



親父はゆっくりと起き上がり、布団の上に座って俺を見つめた。



『俺に引き取られたせいで、おまえにはずいぶんひどいことしたな』

『……親父……もういいよ』



親父は俺に向かって頭を下げた。



『すまなかった……琉生……』



親父は顔を上げて、俺を真っ直ぐに見つめた。



『母親のとこに……行くか?』



親父がそんなことを言ったのは、初めてだった。