逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





「親父さんのせいで、おまえの人生がめちゃめちゃになんなくて本当によかった……」



「親父を殺せなかった……だから結局、俺の日常は何も変わらない」



終わらない世界。



どこにも逃げられない。



「次の日もこの先も酒を飲めば、また俺に暴力を振るう。そんな生活が待ってるだけ。あの日の俺は絶望しかなかった」



俺はキッチンに倒れたままの親父を置いて、家から飛び出した。



苦しみ、悲しみ、憎しみ、絶望……。



俺だけが、どうしてこんな思いしなきゃなんないんだろう。



幼い頃からずっと、周りの友達はいつも幸せそうに見えた。



“なんで俺だけが”



その言葉だけが頭の中でずっと繰り返された。



「でも親父を殺そうとしたあの日、家を飛び出した俺は彼女に出逢った……」



あの日、僕らは出逢った。



キミはきっと、あの日のことを覚えていないだろう。



それでも、ふたりだけが知る秘密がある。



それはいまも、僕が持っている――。