逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




小学生になって、放課後は日が暮れるまで友達と遊んだ。



でも家に帰れば、相変わらずひとりぼっちだった。



腹が減ったら冷蔵庫の中にある物で、ご飯も作った。



洗い物もしたし、自分で洗濯もした。



ひとりでご飯を食べて、学校の宿題をして、風呂に入って……それでもまだ親父は帰ってこない。



布団を敷いて、毎日ひとりで眠りについた。



親父が仕事をしなければ生活はできないんだと、幼いなりに親父を理解していたつもりだった。



でも時々すごく寂しくて、離れて暮らしてる兄ちゃんが恋しくなった。



大好きだった兄ちゃん。



電話をして兄ちゃんの声を聞いたら、きっと会いたくなる。



一緒に暮らせないのに、余計つらくなるだけだと思った。



だから時々、兄ちゃんのほうから電話がかかってきても、俺は電話に出なかった。



ケータイの着信画面に、“兄ちゃん”て名前が出るたび、



“ごめん……兄ちゃん”



そう心の中で呟き、涙を流した……。



アパートのベランダに出て夜空の星を見上げてた。



でも都会の街じゃ、街の明かりで星はほとんど見えなくて。



兄ちゃんと一緒に暮らした田舎で見た満天の星空を懐かしく思った。