陽太の質問に、あたしは無言で微笑む。



「大事そうに持っとるキーホルダー関係あるん?そいつからもらったんか?」



陽太……気づいてたんだ。



「もしかして、付き合っとるん?」



あたしは首を横に小さく振った。



「付き合ってない……あたしの片想い……」



「前の学校のやつ……?」



「うん……」



「そうなんや……」



「もう二度と会えないけど……」



あたしは制服のポケットから星砂のキーホルダーを取り出して、それを見つめる。



「なんで……?二度と会えんことはないやろ。会いに行こうと思えば……」



「そばにいられなくても……彼が幸せだったら、それでいいの……」



「凜……」



あたしは陽太の顔を見て微笑んだ。



「あたしがそばにいたら、彼は幸せになれないから……」



「それって、どういう意味?」



「お~い、おまえら教室入れよ~?出席とんぞ~」



そう言って、担任の先生があたしたちの横を通り過ぎていった。



「教室戻ろ?陽太」



「うん……」