陽太の質問に、あたしは無言で微笑む。
「大事そうに持っとるキーホルダー関係あるん?そいつからもらったんか?」
陽太……気づいてたんだ。
「もしかして、付き合っとるん?」
あたしは首を横に小さく振った。
「付き合ってない……あたしの片想い……」
「前の学校のやつ……?」
「うん……」
「そうなんや……」
「もう二度と会えないけど……」
あたしは制服のポケットから星砂のキーホルダーを取り出して、それを見つめる。
「なんで……?二度と会えんことはないやろ。会いに行こうと思えば……」
「そばにいられなくても……彼が幸せだったら、それでいいの……」
「凜……」
あたしは陽太の顔を見て微笑んだ。
「あたしがそばにいたら、彼は幸せになれないから……」
「それって、どういう意味?」
「お~い、おまえら教室入れよ~?出席とんぞ~」
そう言って、担任の先生があたしたちの横を通り過ぎていった。
「教室戻ろ?陽太」
「うん……」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)