青空が広がり、春らしい陽気で気持ちがいい日だった。
陽太の家は大きな一軒家で、広い庭があった。
その広い庭にバーベキューをしに集まったバスケ部の人たち。彼女を連れてきてる人も何人かいた。
――トントントン。
あたしは庭のテーブルの隅で、野菜などの食材を包丁で切っていた。
網の上で焼いているお肉や野菜から、煙とともにいい匂いが漂ってくる。
コンロの周りに立って、お肉の焼き加減を見ながら、飲み物を飲んだりして話をしている人たち。
バトミントンをして遊んでいる人たち。
楽しそうな笑い声があちこちから聞こえてくる。
そんな光景を見ているのは、嫌な気分じゃなかった。
思い切って、来てみてよかった。
この空のように、気分も穏やかだった。
「凜」
「あ、陽太」
陽太があたしの横にやってきてテーブルのイスに座った。
「凜て、野菜切るの上手いんやね。料理得意なん?」
「まぁ嫌いではないけど。てか、ただ食べやすい大きさに切ってるだけだし」
陽太は、小さく切ったかぼちゃを2コ持って、自分の両目にあてた。
「食べ物で遊ばないでくださーい」
「ハハッ。凜は、ええ嫁さんになるんやない?」
「……それはどーもね」
「本気で言うとるのに……」
「冗談にしか聞こえなーい」
陽太とふざけていると、あたしたちのところに女の子がやってきた。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)