――――――……
日曜日、今日は陽太の家でバスケ部のみんなとバーベキューをする。
午前11時過ぎ、通っている高校の最寄り駅であたしは電車から降りた。
陽太の家は、高校の最寄り駅と同じ駅で、歩いて数分のところだと聞いた。
でも、昨日の夜に陽太から電話があって、彼はあたしを駅まで迎えにきてくれるらしい。
転校初日に道に迷っていたから、方向音痴だと思われてるのかも。
「ヤバッ。約束の時間、ギリギリ」
あたしは急いで駅の階段を下りていく。
駅の改札を出ると、陽太があたしを待っていた。
「ごめんね、待った?」
あたしが陽太の前に立つと、陽太はじっとあたしを見つめたまま動かない。
「おーい……陽太?」
あたしは陽太の顔の前で、手のひらを動かす。
「あ、いや……今日の凜……」
「え?なんかヘン?」
上はパステルイエローのパーカーを着て、中には白いTシャツ。下は、ロールアップデニムのパンツを履いてきた。
バーベキューだし、動きやすいカジュアルな服装にしたつもりなんだけど……。
「……可愛いすぎて見惚れとったわ」
あたしは左肩をガクッと落とす。
「何を言うかと思えば……よくそんなセリフ冗談でも言えるよね」
「冗談やないよ。褒めとるのに……」
「はいはい」
「似合っとるよ」
そう言って陽太は、ニコッと笑った。
別に動きやすい服装で来ただけだし……。
可愛いだとか、似合ってるだとか。
たとえ冗談だとしても、そんなこと言われたら照れるじゃん。
「置いてくぞ」
「待ってよ」
陽太は先に歩き出し、あたしはあとを追いかけた。あたしの少し前を歩く陽太。
陽太は、白いTシャツの上にデニムシャツ、下はカーキー色のクロップドパンツを履いていた。
「陽太は何着てもカッコ良くていいね」
「棒読みも甚だしいわ」
「本心だよ……まぁチャラく見えるけど」
「オイッ!どこがやっ」
「ふふっ。全体的に?」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)