「だってほら、いつも一緒に学校来てるじゃん」
「え?あー、アハハッ……彼女ちゃうよ!妹や。1コ下の妹!」
「妹……?陽太って妹いたの?」
「似とらん?昔はよう似とる言われとったけど……」
妹……そっかぁ。
陽太が嘘つくわけないもんね。
あたしが勝手に勘違いしてたのか。
「ふっ……。凜は、妹のことずっと、俺の彼女やって思うとったん?」
「うん。お似合いのカップルだなと」
「ほんで?」
陽太はあたしの顔を横から覗きこんで、ニヤニヤしながら聞く。
「ヤキモチやいた?」
あたしは陽太の目を見つめる。
「ねぇ、その冗談どうやって返せばいいわけ?」
あたしが目を細めて聞くと、陽太はため息をつく。
「……もうええ」
陽太はあたしから目を背ける。
「そろそろ……みんなのとこ戻らんとな」
そう言って先に立ち上がった陽太は、あたしに手を差し出して微笑む。
「うん……」
あたしはその手を掴んで、立ち上がった。
空き缶をゴミ箱に投げ入れて、あたしの少し先を歩いていく陽太の背中を見つめる。
“ヤキモチやいた?”
いまのって……
冗談……だよね……?
陽太ってたまに、
冗談なのか本気なのか
わかんない時がある……。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)