“傷つけるんも人やけど、支えてくれるんも人やけん”
陽太の言葉に、
あたしは橘くんを思い出す――。
お母さんが死んだあの夜……
あたしの手を握って
“泣いていいんだよ”
そう言って。
ずっと、そばにいてくれた。
それまでも、それからも。
あたしの心を支えてくれたのは、
いつだって橘くんだった……。
「凜……?何考えとるん?」
「ううん、べつに……」
そう呟いたあたしは、青い空を見つめた。
「あ!そうや!凜っ」
「なに急に大きな声出して……」
びっくりするじゃん。
「日曜、家に来ん?」
「家って……誰の?」
「俺ん家っ!」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)