暖かい春の午後。
青い空とふわふわの白い雲。
桜が咲く、バスケットゴールのある公園。
――ダン、ダンッ。
ボールを地面につく音。
「凜ちゃん、パスっ」
「はいっ」
男子たちに交じって、あたしはバスケをしてる。
――ダン、ダンッ。
「凜ちゃんっ」
あたしはバスケットゴールの下でボールを受け取る。
「行けっ!凜っ……シュート!」
――パサッ。
「やった!決まった!」
あたしは小さくガッツポーズ。
「ナイッシュー」
「凜ちゃん、ナイス!」
相手味方など関係なく、みんなが喜んでくれた。
「凜っ!イエイッ」
――パンッ!
あたしは、駆け寄ってきた陽太とハイタッチをした。
「ハァ、ハァ……あたし、休憩……」
遊びだとはいえ、休みながらとはいえ、やっぱりバスケ部の彼らの体力には到底ついていけない。
「はぁーっ。疲れた……」
あたしはよろけながら歩いて、ベンチに倒れ込む。
「アハハッ。凜、ギブ?」
陽太がベンチまで走ってきて、あたしに聞いた。
「限界……です」
「おーい、みんなー!凜とジュース買うてくるけんっ」
そう彼らに向かって陽太は叫び、ベンチの前に陽太はしゃがみこむ。
「え?なに?」
「おぶってやるけん」
「なっ……いいです!」
「冗談や」
冗談かいっ!
陽太はたまに本気なのか冗談なのか、わかんない時がある。
「ノド渇いたやろ?」
「うん」
「買いにいこうや」
陽太はあたしの手を引っ張って、公園の中を歩いていく。
「ねぇー、どこまで買いにいくのー?クタクタだよぉ~」
「すぐそこの自販機や」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)