逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




この人混みの中、前にも行けないし。



後ろからじゃ、掲示板に貼り出されてる名前とか全然見えないんだけど……。



「凜!同じクラスや!3年C組!」



人混みの中から出てきた彼は、満面の笑みであたしの前に立った。



「え~?」



「なん?嫌そうな顔せんでよ」



「わぁー、陽太と一緒で楽しくなりそー」



「……恐ろしいほど棒読みやの」



「うそうそ、よろしくね!」



「イヒッ。よろしくなっ」



陽太はニコッと笑い、あたしの頭をポンと軽く叩いた。



そう、気づけばいつのまにか。



“陽太くん”から“陽太”ってあたしは呼び捨てで、名前を呼ぶようになってた。



この数ヶ月の間に、自然と。



男女問わずクラスメートや彼の周りの人たち、先生までもが彼を“陽太”って呼ぶ。



最初はあたしが男子を呼び捨てにするなんて考えられなかったけど、



いまでは自分でも不思議なほど、違和感もない。



その理由は、なんとなくわかる。



陽太の人柄が、みんなをそうさせるんだろうと。