逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



くぼっちは何か言いたげな顔で、黙ったまま俺を見つめる。



「なんだよ?」



「本気でそう思ってる?あの状況で吉野更紗に何も感じなかった?」



俺はコクンと頷く。



「あーでも……ふわっとバニラみたいな甘い香りしたけど」



「匂い聞いてんじゃねーよ!」



「ハハッ」



「フハハッ」



くぼっちと俺は笑い合った。



「……ホントにおまえ、咲下しか見えてねーんだな」



「他の子のこと考える余裕なんてねーの」



「一途だね~おまえは。どんだけ好きなんだよ……咲下のこと」



俺は振り返って窓の外を見つめる。



「わっかんねー。でも……」



「でも?」



「いつのまにか大きくなってた」



心の中で。



咲下を想う気持ち。



「あの頃よりもずっと……」



「あの頃って……?」



首を傾げて聞いたくぼっちに、俺は微笑んだ。






――忘れることのない


遠いあの日



“涙星”



ふたりだけが知る


秘密の記憶――。