――ガラガラガラ……。
保健室に入ると、誰もいなかった。
「ラッキー」
俺はベッドを囲む白いカーテンを閉めて、ベッドの上に横になる。
布団をかぶり、目を閉じた。
保健室は暖房がきいていて、あったかい。
なんか、寝たら起きれなそうだな。
このまま午後の授業もサボろっかな……。
その時、
――ガラガラガラ……。
ドアが開く音が聞こえる。
保健の先生か……?
俺は布団の中にもぐりこんだ。
――シャッ。
ベッドを囲むカーテンを開ける音がして、俺は布団から顔を出し、目を開けた。
「橘くんっ!見ぃーつけたっ」
「あ……」
「探したんだよっ?サッカーしてる男子に、ここだって聞いて……」
そこに立っていたのは、1組の女子。
男子がみんな学年一可愛い子だって噂してる。
俺が彼女と話すのは、修学旅行のとき以来だろうか。
彼女の名前は、吉野 更紗(よしの さらさ)。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)